粗筋:小学3年生の「ぼく」は、「お化け屋敷」と呼ばれる大きな家に住んでいる、OGと言う男に心引かれていた。OGは、「ぼく」の住む街にある大金持ちの家・大柳家のおじさんと言う意味だ。OGがいろいろ面白いものを見せてくれる「お化け屋敷」には、「ぼく」の他に、ウガッコ、ゴッチ、ココア、Cちゃん、ユーレイ、魔女の6人の小学生達が入り浸っていた。だけど「ぼく」達は、「お化け屋敷」に勝手に入り込んで、地下室に大量の猫の死体があるのを見てしまった時から、OGと疎遠になってしまった。それから25年が経った。教師をやっていた「ぼく」は、OG―大柳賢三から「お化け屋敷」に招かれ、「ぼく」達は再びあの屋敷へと連れて行かれた。しかしそこでは電話が通じなくなり、次々と仲間が殺されていく。1人だけ生き残った「ぼく」は、精神病と判断されて、療養させられるのだが――。ジュブナイルミステリの人気作家が書き下ろした、悪夢の大人向けミステリ。赤い夢は、ほらすぐそばに…
感想:はやみねかおるは、これまでも紹介してきた通り、ジュブナイルミステリを専門に書く作家で、作中ではリアルタイムで人が死ぬことはありません。しかしこの作品は、勇嶺薫名義で書かれた、残酷で暗黒な、大人のミステリです。人の「歪み」によって引き起こされた奇妙な殺人事件が、全く遠慮無く書かれています。作者がことあるごとに言ってきた「赤い夢」と言う表現の、これが真実の姿です。故に、ミステリ初心者や、「はやみね」作品を期待して読むと、トラウマが残りかねません。勿論それが作者の狙いなので、ミステリ好きにはたまらなく素晴らしい作品です。ミステリ好きな方は、是非一読あれ。
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