2007年08月22日

「こっちへおいでよ、さあ、早く」 勇嶺薫(はやみね・かおる) 『赤い夢の迷宮』

付随情報:講談社、講談社ノベルス。勇嶺薫(名義としては)デビュー作。

粗筋:小学3年生の「ぼく」は、「お化け屋敷」と呼ばれる大きな家に住んでいる、OGと言う男に心引かれていた。OGは、「ぼく」の住む街にある大金持ちの家・大柳家のおじさんと言う意味だ。OGがいろいろ面白いものを見せてくれる「お化け屋敷」には、「ぼく」の他に、ウガッコ、ゴッチ、ココア、Cちゃん、ユーレイ、魔女の6人の小学生達が入り浸っていた。だけど「ぼく」達は、「お化け屋敷」に勝手に入り込んで、地下室に大量の猫の死体があるのを見てしまった時から、OGと疎遠になってしまった。それから25年が経った。教師をやっていた「ぼく」は、OG―大柳賢三から「お化け屋敷」に招かれ、「ぼく」達は再びあの屋敷へと連れて行かれた。しかしそこでは電話が通じなくなり、次々と仲間が殺されていく。1人だけ生き残った「ぼく」は、精神病と判断されて、療養させられるのだが――。ジュブナイルミステリの人気作家が書き下ろした、悪夢の大人向けミステリ。赤い夢は、ほらすぐそばに…

感想:はやみねかおるは、これまでも紹介してきた通り、ジュブナイルミステリを専門に書く作家で、作中ではリアルタイムで人が死ぬことはありません。しかしこの作品は、勇嶺薫名義で書かれた、残酷で暗黒な、大人のミステリです。人の「歪み」によって引き起こされた奇妙な殺人事件が、全く遠慮無く書かれています。作者がことあるごとに言ってきた「赤い夢」と言う表現の、これが真実の姿です。故に、ミステリ初心者や、「はやみね」作品を期待して読むと、トラウマが残りかねません。勿論それが作者の狙いなので、ミステリ好きにはたまらなく素晴らしい作品です。ミステリ好きな方は、是非一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/%E8%B5%A4%E3%81%84%E5%A4%A2%E3%81%AE%E8%BF%B7%E5%AE%AE-%E5%8B%87%E5%B6%BA-%E8%96%AB/dp/4061825283/ref=sr_1_1/249-6775107-7577126?ie=UTF8&s=books&qid=1187743597&sr=1-1
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「デウス・エクス・マキナの狼狽」 山田正紀(やまだ・まさき) 『ミステリ・オペラ』

付随情報:早川書房、ハヤカワ・ミステリーワールド。副題は『宿命城(シュウミンツェアン)殺人事件』。

粗筋:平成元年。編集者の萩原祐介は、勤め先のビルの屋上から飛び降りた。彼の妻である「わたし」―桐子は、夫の身辺の整理をする内に、善知鳥(うとう)良一と言う青年が、昭和13年の満州で残した折本・『宿命城殺人事件』を見つける。実在の作家である小城魚太郎が作中に登場するなど、その「物語」は、どうやら昭和13年の満州で本当にあったことらしい。桐子はその折本を読み始めるが、その内に彼女の精神は、折本を読み進める度に、平成元年の東京と昭和13年の満州を行き来するようになる。彼女は満州で、善知鳥の記した『宿命城殺人事件』を実際に体験しながら、夫の祐介の影を追い求めていく。折本が読み進められていく毎に、祐介の死の真相と、『宿命城殺人事件』の真相が重なっていくが、過去と現在をつなぐ男・黙忌一郎(もだし・きいちろう)の存在が明らかとなってきて――。あらゆるミステリのガジェットを詰め込んだ、重厚なSFミステリ。圧倒的な物語に、きっとあなたは震え上がる

感想:これは、すごい、としか言えません。すごい作品です。粗筋が物足りないくらい(説明しきれないくらい)、すごい作品です。過去と現在、2つの場所で事件が起きるのですが、単独でも充分魅力的なそれらの事件が、驚くべき解決で、両者をつなぐこととなります。またこの作品は、ミステリとしてではなく、文学としても非常に魅力的であり、登場人物の関わり合いが見事に描写されています。かなり長い(ハードカバー二段700P)のですが、それらを感じさせないほどうまく作られており、とにかくすごい作品です。長いので初心者には向きませんが、挑戦したいというミステリ好きの方、一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E2%80%95%E5%AE%BF%E5%91%BD%E5%9F%8E%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E6%AD%A3%E7%B4%80/dp/4152083441
posted by 瀧神 at 09:44| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「THE LOOP AND ROOTS,OF NESTING STORY」 恩田陸(おんだ・りく) 『三月は深き紅(くれない)の淵を』

付随情報:講談社、講談社文庫他

粗筋:社会人になったばかりの鮫島巧一は、ある日専務に呼び出され、社長の別宅に2泊3日で泊まるよう命じられた。理由は、巧一が読書を趣味とするからと言うものであり、わけの解からないまま巧一は、社長の別宅へと辿り着く。そこは4つの館と離れのある邸宅で、4人の老人達が彼を待っていた。老人達は巧一に、自分達は無類の本好きであり、ある一冊の「」を探しているのだと告げた。その本は、『三月は深き紅の淵を』と言うタイトルの、4つの短編から成る小説らしい。それぞれの短編が、関係無い様でいて巧妙に関わり合っていると言うその小説には、貸す時には一晩しか貸してはいけないというルールがあった。故に老人達は、その本を読んだことはあっても、所有どころか全て読み終えてもいないのだった。そしてその本は、この邸宅の何処かにあるのだという。毎年読書を趣味とする社員を招き、その本を探させるのが、この集まりの目的なのだ。興味を覚えた巧一は、言われるがままに、奇妙な邸宅で本探しを始めるが――『待っている人々』。幻の小説を巡る、4つの短編集。流麗なモザイクと小細工に溢れた、奇妙な擬似連作短編集

感想:粗筋を読んでいただければ解かる通り、ある本を巡って展開される4つの短編は、その本と同じく、見事に互いにリンクしています。4つの短編は、それぞれの毛色の違うミステリでありながら、根底に置かれた謎は全て繋がっており、物語そのものを巨大な謎に仕上げています。また4つの短編は、作中の『三月〜』内の4つの短編ともリンクしており、全ての短編が恐ろしく巧緻な構造となっています。ミステリ初心者でも、そうでない人でも、充分に楽しめる作品でしょうから、是非一読あれ。
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2007年08月05日

「涙をふいたら視えてくる」 松尾由美(まつお・ゆみ) 『ハートブレイク・レストラン』

付随情報:光文社

粗筋:あるファミリーレストランの一席を仕事場とする、フリーライターのわたし―寺坂真衣は、ある日友人からかかってきた電話でおかしな話を聞かされる。友人が書いている雑誌の編集長の指輪が無くなり、それが同じ日に編集長の家で開かれたパーティーで、社員が焼いてきたケーキの中から見つかったと言うのだ。そのケーキのスポンジは、編集長が指輪を無くすより前に焼かれており、切れ目も入っていなかった。私はこの話に興味を持ち、コラムのネタに使うことにしたが、如何せん謎が解けない。そんな時、いつもファミレスの隅の席にいる、常連のおばあちゃんに、声をかけられた。おばあちゃんは私と友人の電話での会話を聞いていたらしく、驚くことにその謎をいとも簡単に解いてしまったのだ。お礼を言う私に、おばあちゃんは満足げにうなずいていたが、徐々に壁に吸い込まれる様に、消えていってしまったのだ。呆気にとられる私に、今度は店長が声をかけてきた。あの人は、このファミレスの敷地を持っていた幸田ハルという人で、死んだ後も度々店に現れ、生前と死後、合わせて100年の間に培われた年の功で、謎を解決しているのだという。私はその後も、おばあちゃんと会話する様になるが――。レストランの一角で起こる、不思議な謎と、不思議な探偵の謎解き!奇妙な味の、連作短編6話

感想:探偵役を知って、思わず「おばあちゃんが言っていた」というフレーズがわきましたが、そんなことはどうでもいいでしょう。この作者はどうも、まともな探偵役を使わない(妊婦とか、安楽椅子とか)のですが、探偵役の設定をフルに(より奇抜に)使っているので、謎も謎解きも非常に楽しめます。連作短編なので小口ですが、謎と謎解きのツボはしっかりと押さえていて、普段ミステリを読まない人でも、ミステリ入門として読めるタイプの作品です。ミステリを読んだことのある人でも、そうでない人でも、一読あれ。
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posted by 瀧神 at 10:04| Comment(7) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「賢者は自分の針(とき)を持つ」 光原百合(みつはら・ゆり) 『時計を忘れて森へいこう』

付随情報:東京創元社

粗筋:お父さんの仕事の都合で、清海(きよみ)に引っ越してきた若杉翠は、校外学習で学校の近くにある森に行った時、お母さんからもらった時計を、何処かに落としてしまった。それを探す途中、私は出会ったのだ。森の中で自然と対話する青年―深森護さんに。護さんは、酪農や農業、森の自然を人々に解説する団体、SEEK協会レンジャーだった。私は護さんと頻繁に森で会うようになっていった。そして知った。護さんは、僅かな手掛かりから、複雑な真実を導き出すことが出来ると言うことに。私の同級生の父が交通事故で亡くなった時、彼女が言った「わたしがころした」と言う言葉の意味。協会のキャンプに参加した女性が、母親の死をきっかけに拒食症になった、本当の理由。森の教会で結婚式を挙げる筈だった女性が、式の前に元恋人のいる街に行った理由。それらの「深い真実」を、護さんは悲しくも美しく、見事に織り上げていく。悲しみと癒しに満ち溢れた、心優しき連作ミステリ。読み終わったら、森へ行こう

感想:癒される、と言うことは、こういうことなんだなと改めて感じさせてくれる作品集でした。作品内の描写も、雰囲気も、そして勿論物語そのものも、全てが、少しの苦さと大きな優しさに彩られていて、微笑ましい気持ちになりました。謎はそれほどすごいものではありませんが、謎が解かれていく過程や、謎解きによって生じるラストの感動などは、ミステリファンをうならせること間違い無しです。ミステリを普段あまり読んだことの無い方でも、ミステリは余り好きではないと言う方も、恐らくこの作品は好きになってくれると思います。一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/%E6%99%82%E8%A8%88%E3%82%92%E5%BF%98%E3%82%8C%E3%81%A6%E6%A3%AE%E3%81%B8%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%86-%E5%85%89%E5%8E%9F-%E7%99%BE%E5%90%88/dp/4488012205/ref=sr_1_16/249-7711873-5806719?ie=UTF8&s=books&qid=1186272353&sr=8-16
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「ウソデモイイカラ、エンジテヨ」 近藤史恵(こんどう・ふみえ) 『凍える島』

付随情報:東京創元社、創元推理文庫他。第4回鮎川哲也賞受賞作。近藤史恵デビュー作。

粗筋:喫茶店『北斎屋』を経営するわたし―あやめと、共同経営者のなつこさんは、店の常連6人と共に、夏に慰安旅行に行く計画を立てた。旅行の行き先は、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島。モォタァボォト(原文ママ)ですぐ行けるが、立派な無人島だ。行くまでは楽しかったのだが、いざ8人が島に残されると、何だか関係がギクシャクし始めた。それはわたし達8人の中で、普段から密かに恋の鞘当てが繰り返されていたからだ。夫婦で来ている者もいると言うのに、この孤島に来て、その鞘当てはいっそう加速したらしい。勿論わたしもその例外ではなかった。わたし達は、表面上には穏やかに島の生活を過ごしていたが、突然、夫婦で来ていた者の妻の方が、密室の中で殺されているのが見つかった。部屋に飾ってあった、日本刀で切られたらしい。しかもその心臓は持ち去られていた。その後も、崖から突き落とされたりと、次々に人が殺されていく。そしてわたしも、何者かに頭を殴られて――。孤島と言う定石を用いて、心理描写を極限まで高めた意欲作。恋愛とミステリの、高貴なる融合。

感想:孤島と言う、ミステリで言うクローズド・サークルを舞台に用いていおり、物語としては非常にベタな作品です。しかしこの作品の一番の評価に値する所は、その卓越した心理描写です。恋愛においての心理戦と、犯人との心理戦を同時進行で描き、ラストにそれは思いもかけない形でつなげられます。更に謎解きは、2段階に分けられており、ミステリ好きな読者の心をかなり刺激します。物語としては地味な作品なので、派手な演出を好む人には物足りないでしょうが、心理戦を描くミステリとしては上級な作品なので、是非、一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/%E5%87%8D%E3%81%88%E3%82%8B%E5%B3%B6-%E8%BF%91%E8%97%A4-%E5%8F%B2%E6%81%B5/dp/4488427014/ref=sr_1_8/249-7711873-5806719?ie=UTF8&s=books&qid=1186268625&sr=8-8
posted by 瀧神 at 08:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月29日

小休止。〜ミステリとホラー〜

ミステリは、実に様々な他ジャンルとのコラボレーションに富んだジャンルです。
文芸、ホラー、SF、ファンタジ、恋愛、ヴァイオレンス(ノワール)、児童文学、サスペンスなどなど。
これらのジャンルで最もミステリとの相性がいいのが、ホラーです。
ミステリ色のあるホラー、またはホラー色のあるミステリと言うのは、他ジャンルよりも格段に多いです。
それは何故かというと、理由はいろいろ考えられますが、特に殺人事件という、ある日突然訪れる「非日常」は、、ホラーと相通じるものがあるから、と言うのが最も解かりやすい理由でしょうか。
更にトリックが解からない場合、超常現象で片付けてしまうことも出来る、と言う理由もあるでしょう。
ホラー×ミステリの作品を書く作家は、矢張りホラーはホラーでミステリはミステリで書ける人が多いです。そういう作家は、ホラーでデビューし、ミステリへと移行するケースが多いです。

ホラーとミステリのコラボと言っても、これにも様々な種類があります。
ホラー的な設定を取り入れつつ、それを利用して謎と謎解きを作り出すパターン。
 →『丑三つ時から夜明けまで』、『向日葵の咲かない夏』、『作者不詳』など
●謎と謎解きは本格だが、どうしても論理的に解けない謎(=ホラー)を、「スパイス」として挿入するパターン。
 →『厭魅の如き憑くもの』、『水車館の殺人』、『東亰異聞』など
一見ホラーだが、探偵役がそれを全て論理的に解くパターン。
 →『骸の爪』、『TRICK(ドラマ)』など
狂気の犯人が登場するサイコホラーで、推理や調査によって、犯人が追い詰められていくパターン。
 →『GOTH』、『黒い家』、『ケイゾク(ドラマ)』など

こんな所でしょうか。まだある気もしますが…
日本のホラーには、海外には無い「わけの解からなさ」があります。論理的に解決がつけられそうで、つけられない。その性質が、数々のミステリ作家と読者を、ホラーとのコラボへと導いたのかもしれません。
posted by 瀧神 at 11:21| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小休止。〜紹介「不可能」作品〜

此処まで、280冊ほどを紹介してきました。
何処よりも細かい粗筋を」を目標にしているこのブログですが、それが不可能な作品が、現時点で3冊あります。
この記事では、それらが何故紹介出来ないのかを書きたいと思います。
粗筋は、Amazonからのコピペ(本当はすごくしたくない)ですが、その本に興味を持っていいただいて、読んでいただければ幸いでつ。

●『コッペリア』 加納知子(かのう・ともこ) 講談社

粗筋:恋をした相手は人形だった。作者は如月(きさらぎ)まゆら。だが人形は、エキセントリックな天才作家自らの手で破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れた。まゆらドールと女優が競演を果たす時、僕らは? 日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、初めての長編ミステリー。

理由:事件そのものが単純で、粗筋自体が短くなるためです。それならまだいいですが、後半は、登場人物の長い独白により、真相が解かれていくので、それらを粗筋で書くわけにはいきません。また、詳細な粗筋を書くと、作品の仕掛けが露見するため、もあります。

●『転落』 永嶋恵美(ながしま・えみ) 講談社

粗筋:ボクの周囲の歯車が狂い始めた。ホームレスとなったボクは、小学生の女の子と出会い、その日から少しずつ、歯車が狂い始めていった…。心理サスペンスと叙述ミステリーを融合させた物語。

理由:粗筋からも解かる通り、叙述トリックが使われているためです。しかも前半でそれは露見するため、詳細な粗筋を書くことはほぼ不可能だと思われます。

●『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ(いぬい・くるみ) 原書房、ミステリー・リーグ

粗筋:大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは、代打出場の合コンの席。やがて二人はつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年を共に過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って、地元静岡の会社に就職したたっくん。所がいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、何時しか二人に、隙間が生じていって――。

理由:この作品は、2部構成(「A面」と「B面」)となっていて、上の粗筋は「A面」です。探偵役が出てくるタイプのミステリではなく、物語「そのもの」に謎が仕掛けられているので、粗筋を書くのは不可能でもあり、野暮でもあります。

念の為書いておきますが、粗筋を紹介するのが難しいのであって、作品はすこぶる面白いです。特に『イニシエーション・ラブ』は、2回は読まないと、読者探偵としてすっきり出来ません。表紙へのURLは、記事が長くなり過ぎるので、省略させていただきます。では、一読あれ。
posted by 瀧神 at 10:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月28日

「ザ・フォービドゥンマインド・フォー・フォークロワ」 北森鴻(きたもり・こう) 『凶笑面』

付随情報:新潮社、新潮エンターテインメント倶楽部他。サブタイトルは『蓮丈那智(れんじょうなち)フィールドファイルT』。木村田江主演でドラマ化済。

粗筋:東敬大学民俗学研究室。そこに、息を飲むほどの美貌に、息が詰まるほどのクールさを兼ね備えた助教授・蓮丈那智はいる。ある日彼女の元に、呪いがあるため神社に奉納されていると言われている、「凶笑之面」の由来を調査して欲しい、と言う手紙が舞い込む。差出人は、業者にも学者にも悪名高い骨董商・安久津圭吾だ。彼女は助手・内藤三國(みくに)を連れ、面のある長野の村へと向かう。安久津の話によると、村に「凶笑之面」は確かにあるが、それと対となるらしい「喜人之面」は、写真にしか残ってないのだと言う。安久津は「凶笑之面」の由来を解き、「喜人之面」の行方をも探ろうとしているのだ。しかし安久津は、倉の中で撲殺死体となって見つかる。死体の周囲にはビー玉が散乱しており、ビー玉が入っていたガラス瓶で、後頭部を一撃されたらしい。蓮丈は容疑者としてにらまれるが――『凶笑面』。表題作を含む5編の短編で展開される、鮮やかな推理と学説!本邦初、民俗学ミステリの誕生。

感想:表紙が「いい仕事」してます。是非見てみてください。このシリーズでは、二つの謎解きがあります。事件そのものと、それに関わる民俗学の考察です。そのため民俗学の知識がかなり出てきますが、実に解かりやすく、また興味深いものばかりです。蓮丈と内藤の「ホームズとワトスン」の関係もまた、毎回の楽しみとなっており、使われた多くの資料も存分に活用されており、豪華な連作短編集です。ミステリが好きな方でも、普通のミステリは嫌だと言う人には、特にお勧めです。一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/gp/product/customer-reviews/4106026481/sr=1-2/qid=1185586695/ref=cm_cr_dp_2_1/250-3679022-0346663?ie=UTF8&customer-reviews.sort%5Fby=-SubmissionDate&n=465392&qid=1185586695&sr=1-2
posted by 瀧神 at 11:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「待ってられない道がある、あってはならない未知がある」 上遠野浩平(かどの・こうへい) 『殺竜事件』

付随情報:講談社、講談社ノベルス

粗筋:数々の戦好きな国に囲まれた小国・ロミアザルス。しかしこの国はけして、他国から侵略を受けない。それはこの国に、がいるからである。竜。それは、巨大な体と、圧倒的な魔法力と、驚くべき頭脳を持った生物。カッタータ国の特務大尉である私―レーゼ・リスカッセは、他国の戦争を調停する者の補助のため、ロミアザルスを訪れた。世界中の戦争を統括する組織、「七海連合」からは、レーゼの知り合いでもあり、「風の騎士」として名高い戦士・ヒースロゥ・クリストフ少佐も派遣されてきた。そして実際に多国間の話し合いを仲介するのが、世界で23人しかいないと言われる「戦地調停士」だ。ロミアザルスにやってきた「戦地調停士」は、ED(エド)と名乗る、仮面をつけた少年だった。3人は調停を行なう前に竜を見るために、竜が棲む洞窟へと足を運んだ。しかしそこには、張られているべき結界を無くした状態で、横たわっている竜がおり、その延髄に当たる部分には、血塗られた鍛鉄が突き刺さっていた。「無敵」の竜が、何者かによって殺されたのだ。3人は責任を取り、竜を殺した「犯人」をつきとめるため、旅に出ることを決める。しかしEDはロミアザルス議会によって、右手に30日後に目覚める「呪いの紋章」をつけられ――。タイムリミットは30日! ファンタジとミステリの融合を目指した、作者の挑戦心溢れる意欲作!

感想:ファンタジというのは、本当に粗筋を書くのが難しいです。どうしても「設定」が長くなってしまいますから。ファンタジとミステリの融合と言っても、ファンタジ6割ミステリ4割くらいで、ミステリ風味のファンタジと言うべきでしょうか。しかし伏線などはしっかりと張っており、推理もしっかり論理的に組み立てられます。ファンタジに耐性の余り無い私には、途中の旅が、少々冗長の様な気もしますが、「ファンタジ」の部分としては楽しめました。非常に読みやすい作品なので、読書初心者の方でも、一読あれ。
本の表紙へ→http://www.amazon.co.jp/gp/product/customer-reviews/4061821350/sr=1-31/qid=1185584268/ref=cm_cr_dp_2_1/250-3679022-0346663?ie=UTF8&customer-reviews.sort%5Fby=-SubmissionDate&n=465392&qid=1185584268&sr=1-31
posted by 瀧神 at 10:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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